通り雨

   通り雨

 

 

小骨を取った魚の身を、

夕ごはんを食べ終わるまで、

お椀の影に置いておく。

 

そして食器を下げるとき、

机の隅に移動させる。

これからビーグル犬が来るからです。

 

雷が鳴ると、

ビーグル犬は二階を見上げたので私は、

「違う違う。

 

もっと上の高い所のことだよ」

と言いました。

雨樋をそのまま伝って出てきた水より、

 

一つでも多く回って伝って出てきた水が、

遠くへ飛んでいると思う。

図書館から美術館への煉瓦の道では、

 

風で何度も雨粒が跳ね上がっている。

雷が鳴る。少女の彫刻は、

両手を広げて立っている。

 

水泳場の縁では、二羽の鴨が並んでいる。

明後日から始まる水泳場の用具は、

まだ隅に置かれていて、

 

その中を雨が通り抜ける。